起始 想意 品書 写真 貸出 報知 場所

想意

阿佐ヶ谷にある小さな喫茶店の始まり

コンセプト

天文図舘は東京都中央線阿佐ヶ谷駅から徒歩1分の場所にあり、2020年8月にオープンした喫茶店です。
大きさは2階建の10坪で11席のみ。

飲食店の店長もデザインの勉強もマーケティングもした事がない25歳の頃の僕がただただ「好き」という熱量だけで作ったお店です。

コンセプトは「ノスタルジー空間でお客様を癒す」こと。
ここで指すノスタルジーの定義は、「過去や故郷を思い出して切なくも暖かい気持ちになる」ことです。

人の心情を表す言葉なので辞書ごとに定義が違うのですが、僕の中ではこの感覚が1番近いと感じました。
最近の若い人達の言葉を使うと「エモい」が近いかもしれません。

僕の人生の全てをぶつけたと言っても過言ではないこのお店がどうやって作られていったのかを少しだけ話していきたいと思います。

はじまり

「ノスタルジー」をテーマにした喫茶店の始まりは高校時代まで遡ります。

僕は高校時代に野球部に所属してました。
都内ではわりかし強豪として有名だったので野球一色の高校時代だったと思います。
小学校の頃からプロ野球より高校野球が好きで夏場のテレビチャンネルはWBCより甲子園を優先して見ていました。

そんな高校野球は地区大会で敗退し夢は叶いませんでしたが、自分自身が出来る事は全部やり切ったので何の悔いもありませんでした。
むしろ終わった開放感から残りの高校生活はとても楽しかった記憶があります。

しかし大学時代になると高校野球の穴を埋められるものが無く、心にポッカリ穴が空いた感覚でした。
何に打ち込んでも高校野球時代程の充実感が得られず、徐々に刹那的な思考になっていたと思います。

「あの頃の充実感が今後の人生で得られないのなら生きている意味あるのかな」とずっと悩んでいました。
それは社会人時代を経てお店が完成するまでずっと引きずっていたと思います。

決意

でもそんな時に僕の心の平穏を保ってくれていたのが「ノスタルジー」という感覚でした。
旅行先で見た夕陽や雑居ビル街で見る青空、ふらりと立ち寄った喫茶店。

そんなノスタルジーな空間達が空虚な自分を癒してくれて「明日からもちょこっとだけ頑張ろう」という気持ちにさせてくれました。

ハッキリと「ノスタルジーな気持ち」を自覚したのは2018年の5月頃です。
本当はもっと前に気付いていたのかもしれませんが、当時書いていた日記に初めて「ノスタルジー」という単語が出てきたのがその時期でした。

さてそんな体験から「ノスタルジー」というものに興味が出てきた僕は、それによって自分と同じような境遇の人を癒せるのではないかと考え始めます。

つまり何となくですが「ノスタルジー」に「価値」があるのではないかと考え始めたのです。
元々、空間や喫茶店が好きだった僕はこの頃に「ノスタルジーをコンセプトにした喫茶店」を作ろうと決意しました。